「平、準備できたか?」
「おう!ばっちり!」
と言いながらオレは、廊下ではしゃいでいた。
「っていうかお前、ほんっっとうに受験生の自覚ゼロだな。」
「うんっ♪」
 ガックリ、と万里が肩をおとす。

 オレらは中学三年生。
 俗に言う、「受験生」なお年頃。
 なのにオレらはどっかに行こうとしてる。

 どこかって?
 それは…
「平ちゃん、万ちゃん、お弁当と水筒、忘れないでね♪」
 お母さんが弁当と水筒を玄関のすみに置く。
「はーい。」

 今は秋。
 秋といえばピクニックだ♪
 受験なんて関係ない。

「お前、何か忘れてないか?」
「ん、何を?」
 ピクニックには、やっぱ弁当と水筒とリュックサックだよな。
 お母さんが用意してくれたからちゃんとあるし…
 何だろ、一体。
「ほら」
と万里がオレに向かって本を投げた。
「…!!」
「参考書。受験生にはかかせないだろ?」
「万里っっっ!!!!」
 けらけらけら、と万里が笑う。
 オレは怒って参考書を万里に投げつけた。
「そんじゃ、行くぞっ!!」