ボクの名前は、上杉美朋(うえすぎ・みほう)。
 レッキとした、県立高校1年生。
 今、隣で星を見ているのが、ボクの親友日向明美(ひょうが・あけみ)。
 ここはうちじゃなくて。
 近所の神社。
「神代神社」というらしい。
「もう、暗くなってきたから、帰る。」
 アケミが言う。
 ボクは、
「とっくに暗くなってるよ。」
と訂正した。
 そしてアケミが舌を出して、
「えへへ。失敗☆」
と言った。
「じゃーね☆」
「バイバイ。」
 ボクはアケミと挨拶を交わし、また考えた。
 あの星は一体…。
 アケミは不思議に思わなかったんだろうか。
 人一倍鈍感だから、まー、しょうがないか。

 ところで…。
 なぜボクが自分のことを「ボク」というのでしょう?
 答えは一つ。
 男ばっかしの兄弟の中でボクだけ一人、女だったから。
 まず長男は和(かず)、んで次男は拓(たく)、三男は朋雷(ほうらい)。
 生まれた順だと、和兄(かずにい)、拓兄(たくにい)、ボク、朋雷。
 やたらと男がうるさいんだな、これが。
 でも今は朋雷と二人暮しなんだ。《←このへんむちゃだね…(^^;》

 もうすぐ家だ。
 早く御飯作らないと。
 走ろう。

 ドカッ

「あいたたた…」
 ボクは後ずさった。  はっ。 「すみません。すみません。あいむ、そーりーっっ。」
 なんと、ぶつかってしまった相手は、ガイコクジンだったのだ。
「デゥパルディハリ。」
「へっ!?」
「デゥパルディハリ。」
 ?????。
 はてなマークが無限に続く。
 この人、何者…??
「きゃぁ…」
 大声でこの外国人風の人に向かって叫ぼうとしたが、まるで声にならなかった。
 この人は、髪がおそらく黄色…おそらく橙色で、眼が青緑色っぽい。
 髪の長さは…絶対ボクより長い。
 だってボクはショートヘアで、彼は腰の辺りにまで髪が伸びているんだから。
 ボクは走った。
 できる限りの力を出して、走った。
「あ、ルー。」
 でもこの日課は忘れられない。
 というか、いつものくせなのだ。
 ルー――このマンションの近くの家に住んでいる猫を抱き、頬をすりすりさせる。
 それが、ボクのくせでもあって、日課でもある。
「ルー、おいで。」
 今日のルー、落ち着きがないように見える。
 なぜかボクに近づこうとしない。
「ボクだよボク。美朋だよ。」
 ルーは逃げていった。
 どうしたんだろ。
「早く御飯作らないと。」
 だだだっ。
 うちはこのマンションの三階にある。
 急いでエレベーターに駆け込む。
「ホッ。」
 溜め息をもらして、ボクは「3」のボタンを押した。
 チンッ
 だだだっ。
 家に駆け込む。
「ただいまぁー。」
「おかえりー。」
 朋雷の声だけが返ってきた。 「アホウ姉ちゃん…と星(セイ)兄ちゃん。」
「えっ!?」
 くるっと後ろを向いた。
 すると、なんと、さっきの人に髪の毛をまるっきり黒に染めたのを、ショートヘアにして、眼を黒くしたみたいな人がいたのだ。
「ええーっ!!??」
 …ちょっと待てよ。
 さっき朋雷が言った言葉…。
「こらぁっ!朋雷っ!」
「きょーっ。」
「…」
 朋雷ちょいまちっ!
 こらっ!
 あっ、棚がっ、わっ、わっ。
「わ―――っ!!」
 ボクは、頭をふせた。
 が、しばらくしても何も起こらないので、ボクは顔を見上げた。
 そしたら…。
 かの彼が片手で柵を持ち上げているのだ。
 重い柵を。
「ありが…と。」
 とりあえずボクは礼を言う。
 すると彼は微笑んだ。

 ボクは自分の部屋に戻った。
 すると、アイツが、
「これ、飲んで。」
と、飴玉のようなものをボクに渡した。
 ボクは飲んでみた。
「キミ…誰?」
 ボクは言った。
 するとアイツが、
「ボクはキミと人種が同じだけど、ちょっと違うんだ。」
とひそひそしゃべった。
 もっ、もしかしてっ。
「ボクは赤星――スジスズズズシジという星からきました、超能力を持つ者です。」
 エイリアン…!?
「えっ!?うそっ!?」
 ボクは半信半疑だった。
「ホントです。ついでに言うと、ボクの名前は『単冠 星(ひとかつぶ・せい)』。ボクの住んでる星ではボクみたいな人のことを『テゥイ』…超人って呼んでる。ココでは何てよんでる?」
 アイツ――単冠 星が常体語で言った。
 そんなことはどうでもいいけど。
「『超能力者』。」
 ボクはそうはっきりと言った。
「名前、これからセイって呼ぶことにするね。」
「…ふうん。ところで、ココって何時代?」
「えっ!?…平成だけど…?」
 セイが当たり前のことを訊いたので、びっくりしてしまった。
「…実はボク、未来の赤星――地球から来たんだ。」
とセイが言った。
「えーっ!?うそっ!?」
 さっきと同じようなセリフを、ボクは言った。
「ホントだよ。今、異常なほどに海が赤くなってるんだ。――だから赤星。」
「今から何年後の話!?」
 ボクまで異常になってきた。
「ざっと1000年以上。」
「頭、ぶってもいい?」
「そしたら家に戻れなくなるかも。」
 沈黙。
「とにかく、その地球――じゃなくて…何だっけ?」
「スジスズズズシジ。または赤星。」
 セイがボクの質問に答えてくれた。
「そのスジスズズズズ…っていうの、どんな星なのか教えて!」
「うん。わかった。スジスズズズシジだよ。で、そのスジスズズズシジっていうのは――。」
 セイは快く答えてくれた。
「うんうん。」
「ゴミの山がいっぱいで。」
「うんうん。」
「だから――。」
「うんうん。」
「スジスズズズシジは。」
「うんうん。」
「引力がココの時代の地球の2倍になっちゃったんだよ。」
「うんうん…って、えっ!?」
 ゴミがいっぱいというのは、今でもそうだけど、1000年後にはそんなことに…ってことは!
 未来のスジスズズズシジ(やっと言えた)で、ボクの体重は45キロ×2倍で90キロ!?