早速公園に着てみたり。
「何か感じるか?キャロライナ。」
 キャロライナはまだサックスの中にいるので、一緒にサックスも持ってきた。
「すごい…する…」
 公園の周辺ということは本当らしい。
「どっちの方からするんだ?キャロライナ。」
 すると、サックスから彼女が出てきてこう言った(ちなみに公園には人がいない…)。
「あっちの方よ。あ、それと、キャロライナは長いから呼び名はキャロでいいわ。」
と、指で魔力の感じるらしい方向を示しながら言った。
 よく学校に行く途中で見かける、古い感じの洋館だった。
 表札を見ると、『白川』と書いてある。
 しかしその表札はかなり古くてボロボロになっているので、もしかしたら『白川』と書いていないのかもしれない。
 そして、この洋館は人が住んでいるとは思えないほど、ツタなどで囲まれてしまっている。
 実際、『人』は住んでいないのだが。
「“月の陰”のにおいもするわね。とりあえず中に入りましょ。」
 彼女はどんどん門を開けて中に入り込んでいく。
「あ、おい、待てよっ!!」
 とりあえず付いていくことにした。

 ツタを掻き分けながらしばらく行くと、家のドアらしきものに行き当たる。
「覚悟は、いい?」
 キャロが確認を取る。
「ああ。」
 そう言いながらもオレは、ドアの周りにあるツタを剥がそうとしていた。
 やっとドアが開けられる程度になったところで、一応ノックしてみる。
 思った通り、反応はない。
「入りますよー?」
 キャロはそういいながらドアを開けた。
 鍵はかかっていないらしい。
 ドアを開けると、中からほこりが吐き出された。
「ゴホッゴホゴホゴホッ。」
 大量のほこりに驚きながらも、むせてしまうオレとキャロ。
「ゴホゴホ…一体何十年ほっとかれていたんだ、この家は?」
 本当にこんな家に、ゆきはいるのだろうか。
「いるわよ。ほこりだったら魔法で出せるし。精霊だったらなおさら…」
 げ、聞かれてた。
 でもよく見てみると、なるほど人の居た形跡が残されている。
 目の錯覚か何かでほこりがあるように見えたのだろう。
「錯覚じゃなくて幻よ。」
 幻…か。
 突然、キャロが呪文のようなものを唱え始めた。
我に真実を見せたまえ…クレール・ドゥ・リュヌ!
 するとほこりの幻が消えた。
「うわ…すごいっ!」
「精霊だもの…それにふ…」
 ハッとして、キャロは口を手で抑えた。
「ふ?何?」
「じゃ、ゆきさんを探しましょうか。」
 話、反らされたッッ!??

 オレたちは今、一階の部屋をうろうろしている。
 一人だと危険なので、二人一緒に。
 一階には広いリビングルーム、永遠に続いているように思われる廊下・台所なんかがあった。
 そしてなぜか、こじんまりとした和室まで付いていた。
「みつからないなぁ…なぁ、キャロ、“月の陰”のにおいはどの辺からするかわかるか?」
「この階中でぷんぷんにおうわ。鼻が悪くなるくらい…」
 そこでキャロが一息ついた。
「ただ…」
「ただ?」
「ただ、なぜか和室ではしなかったわ…」
 和室、ねぇ…。
 お払いでもされているのだろうか?
 悪魔祓い…とか。
「じゃあさっき見つけた階段上って二階に行こうぜ。」
「ええ。」

「!!」
「どうした!?」
 階段を上っている途中で、キャロが過敏に反応した。
「…いる…上…に…っ…」
「いるのか!?アイツが!!」
 キャロは怯えていた。
 “月の陰”はそんなに恐ろしい人物なのだろうか。
「大丈夫か?キャロ…」
「うん…私が怯えているのは…彼が恐ろしいんじゃなくて…」
 ん?
 じゃあ何なんだ?
「…言え…ない…」
「え?」
 すると、上から階段を下りる音がした。
タンッタンッタンッ・・・
 軽やかな足取り。
 そして、その音の主がわかった。
「…“月の…陰”……」
 キャロが言った。

フランス語参考:フランス語遊び
辞典やゲームがいっぱい。