未来から来た流れ星
3.セイのご先祖様?-その1
ボクは時計を見た。
9時過ぎだった。
「あ――――っ!!お風呂沸かすの忘れてたっ!!」
大声で叫んでしまった。
「姉ちゃーん。とっくのとうにシャワー浴びたからー。」
と、朋雷の声。
一瞬、ホッとした。
「セイ、もうそろそろ中に入った方がいいんじゃないかな。」
「うん。そうする。それに、シャワーっていうのも見てみたいしね。」
どうやら、辞書にシャワーのイラストは載っていなかったらしい。
「じゃ。先に浴びてて、セイ。」
「セイ、もしかして、ここで寝るつもり?」
「うん」
セイがきっぱりと言った。
「普通、男と女は別々に寝るんだよ!…しかたない。今日は特別だよ。明日からは朋雷の部屋で寝てね。」
ボクは半分怒って言った。
ボクの着ているパジャマは、上はくまのプーさんの絵が描いてある。
下は全体的に黄緑色。
一方、セイのパジャマは、水色に白い水玉模様が入っている。
ボクにとっては長いから、ボクが着る時はズボンの裾を折り曲げている。
しかし、セイにはぴったりだった。
少しぶかぶかだけど。
つまり、セイは、足が細長いわけなんだ。
ふうん、初めて知った。
ボクのパジャマは、これと、それと、赤と白のギンガムチェックのしかない。
なんてったって、パパやママから送られてくるお金は月4万円。
1日1200円を使うとすれば…。
ああっ!!
お金のこと考えると頭が痛くなるっ!!
こんなことを考えるのは、やめよう。
それでそのパジャマ(セイの着てるやつ)について、もっとくわしく言うと。
ボクが着てるのと同じ、半そで。
肩の辺りから裾の辺りまで(つまり袖。)が、全部水色(ボクのはそこが黄緑のチェック)。
で。
それで。
結構、似合う。
セイは、ボクが寝てるベッドのすぐ横で、布団を敷いて、寝てる。
おやすみ、セイ。
そういえば。
セイの寝顔が。
何となくうちのクラスの。
誰かに似てる。
気がする。
ま、いいか。
明日の朝、セイに聞けばいい。
セイのご先祖様を。
ボクは。
いつの間にか寝てしまっていた。
そして、夢を見た。
クラスの委員長が。
出てくる夢。
笑顔の委員長が。
そういえば。
委員長とセイ。
顔がなんとなく似てる…。
まさか委員長さんが!
セイの先祖だったりして。
のわけ、ないよ…ね…。
「おはようっ!」
セイが変な発音で言う。
「…お゛は゛よ゛――…」
ボクはグッタリとした声で言った。
あの夢を見た後、すぐ目が覚めちゃって(しかも3時過ぎ…)、寝られなかったからだ。
「ああっ!」
セイが叫ぶ。
「やめてよ。耳に響くから…。で、どうしたの?」
また、グッタリした声で言った。
「美朋の目が四つある!」
ボクは、急いで洗面所に行き、顔を洗って、タオルで拭いてから、鏡に映っている自分の顔を見てみた。
ホント、目が四つあるみたい。
でも、目の下にクマがあるだけなんだけどね。
ふあああ――っ(あくび)。
ねむいな…。
「美朋〜〜〜〜っ。ゴハンっ。」
と、セイの変な発音の声。
「姉ちゃんノロマッ!」 今知った…ノロマって「鈍間」って書くのね(^^;
と、これは例のごとく、朋雷の声。
「一言ヨケイなんだからっ。朋雷はっ。」
と、キンキンする、ボクの大きな叫び声。
「えーと…。何か、言った方がイイかな?」
と、これはセイの独り言。
そんなに一生懸命になんなくてもいいのに…。
ボクは、部屋に戻り、クローゼットの中からTシャツと下着とキュロットを引っ張り出し、パジャマをぬぎ、そして下着を着た。
その後、なぜかドアが少し開いた。
「誰?」
と聞くと、バッと思いっきりドアが開かれた。
セイだった。
「ぎゃ―っ!エッチ!スケベ!変態っ!!」
ボクは大声で叫び、布団の中にうずくまった。
沈黙。
布団の中から顔を出して、ドアの方を見た。
セイが硬直していた。
セイ……。
情けないよ……。
「セイっ。早くドア閉めてっ!」
ボクが怒鳴ると、セイははっとたように驚き、ドアを閉めた。
…一体何の用で入ろうとしたんだろ…。
でも、やっと安心できた。
ふう。
「さあ、着替えよっ…とっ。」
今、フッと疑問がよぎった。
セイの着替えはどうするんだろう?
ま、いっか。
未来からとってくるだろうし。
とボクは鷹をくくった。
きっとパジャマは、夜だったから取りに行けなかったんだろう。
キュロットとTシャツを着たボクは、居間に戻った。
テーブルのはじには、セイに着せたパジャマが置いてある。
そして、セイは、もう着替えた後だった。
ボクの予想通りだった。
セイによると、ボクの心の中をかってにESP(超能力を英語で言ったやつの、頭文字を合わせてそう言うらしい)を使って、覗きこんだ(テレパシーね。)だけらしい。
なんか隠し事とかセイに出来ないっポイ…。
朝飯朝飯。
壁の上方についている時計を見てみると。
7時12分。
時間がちょっと少なくなっちゃったから、パンと牛乳にしよう。
「ごちそうさま。」
と、セイと朋雷とボク。
今度はテレビの時計を見てみる。
7時31分。
急がなきゃ。
ここから学校までは約10分かかるし。
陸上部の大会まで近づいてるし。
あ、練習サボろっかな。
『腹痛』とか『頭痛』とか『気持ちワルかった』とか言ってサボろっと。
ホントの理由は『寝坊した』んだけどね。
あ、とにもかくにも、歯を磨かなきゃ。
あっ。
セイの歯ブラシも出さなきゃ。
「こう?」
とセイが歯ブラシを構える。
「違う違う。ところで、セイは右利き?左利き?」
「左利き。」
「あ、じゃ、こうでいいんだ、ごめん。」
と、歯ブラシを左手に持たせる。
「なんだ、昔も今も持ち方は変わらないのか。」
セイが呟く。
「そんなのん気なこと言ってないで、さっさと歯を磨け。」
ボクは、とっくのとうに磨いておいた。
だから、こんなことが言えるのだ。
腕の時計を見てみると。
7時35分。
登校は8時まで。
ほっ(溜め息)。
間に合う。
「いってきまーす。」
と言っても、うちには誰もいないけど(朋雷は先に行っちゃったし)
「おはよっ。」
と、みんなに向かって手を振る。
ベンチには4人の友達―――マリ、アイ、独旅さん、そしてアケミがいた。
マリ、アイ、独旅さんについて少し説明するね。
マリ――こと月代万里(さかやき まり)は、ボクよりも、いや、どんな女の子よりも、男っぽい。
かっこいい。
で、ボクのクラスの人で、ボクの親友の一人。
肩から背の中間辺りまで伸びている髪を頭の下の方で結んでいる。
アイ――日花(くさはな…って読むかなぁ?(^^;)相は、アケミと同じくらい可愛い。
実はアイは、アケミと独旅さんのイトコなのだ。
つまり、独旅さんはアケミにとって。
イトコのイトコってことだ。
で、アイは、サラサラなロングヘアだ。
そこが、チャームポイント…かな。
今日のアイの服といえば。
ひらひらの。
ドレスみたいなやつで。
もちろん、ボクには到底似合いそうもないやつ(だと思う)。
そして喋り方がですます調だ。